居場所がある、ということ(映画「みんなの学校」を観て)

梅雨の合間、コバルトブルーの空に真っ白な入道雲がモクモクと湧き、
「うぉ~い!夏が来るぞ~ぃ!パワー全開に出せ~!出し惜しみすんな~!」と気合いを入れられました。
庭に出ると、家人が植えた様々な夏野菜が、ピカピカのオーラを放っています。
ここ大島に来てから私は、より”人間らしく”なったと思います。
さて、先日、息子の通う小学校の行事で、とても衝撃的な映画を観ました。
「みんなの学校」という、大阪に実在する公立小学校のドキュメント映画です。ご存知ですか?
ここ大空小学校は、普通の学校では特別支援の対象になる子も、不登校の子も、みんな一緒の教室で学びます。
特別支援の必要があると判定される子供の割合は、普通の学校では、多分クラスに1人か2人くらいだと思いますが、大空小学校では、その割合が、実に2割を超えるそうです。
それから他の学校では対応出来ない、たとえば「この子が同じクラスにいるなら、我が子を学校に通わせたくない」そう親が感じるような、居場所のない子供も沢山入学して来ます。
学校から脱走する子、暴力暴言を吐く子、貧困家庭で食事や教材が十分でない子、極端なこだわりや過敏症を持つ子、そんな子供達により、授業は度々中断します。
しかし現在、不登校児ゼロ。支援を必要とする子供は出来ることが日々増えており、健常と呼ばれる子供たちの学力も、落ちるどころか伸びているという事実。
どうしてなんだろう?
その秘密は、学校の目的の優先順位にあります。
その第1位が、学力を伸ばすことではなく、規則を守るでもなく、学校に従う子を作ることでもない。
「ひとりひとりの子供が、安心して教室にいられること。安心できる居場所をつくる。」ことなんです。
この目標に向かい、全教員がひとつになり、試行錯誤を重ね、地域と連携し、来る日も来る日もお互いにコミュニケーションを続ける、涙と笑いの膨大なる記録。驚くべき、ひとつの奇跡です。
ひとりひとりの「困り」の原因を知り、先生もクラスメートも、家族も地域の人も、関わるみんなが考え、知恵を出し合い、実行し、修正する。その、繰り返し、繰り返し、そしてまた、繰り返し。
子供だけではありません。
先生ひとりひとりが抱える問題も全員で共有し、みんなで解決する、「相談すれば、なんとかなる」世界!
なんせ実録ですからネ、そりゃ、迫力満点です。
もちろん、登場人物は全員「顔出し」ですから、それだけでも皆さんの本気度が伝わります。
映画のあと、本編に登場した木村泰子校長先生が壇上に登られ、開口一番、こうおっしゃいました。
「もし津波が小学校を襲い、先生は屋上に上がれと言っても、”山に逃げた方が助かる”と直観したならば、先生を振り切ってでも山に登る子供を育てなければ、10年後、学校は存在できません。」・・・と。
この言葉を聴いたとき私は、「やった~!時代はとうとうそこまで来たか!」と胸が高鳴りました。
これからの日本は、自分の常識という小さな囲いを破る者たちとの共存時代に突入して行きます。そのときに対応できる人間を育てるのが、今の私たち大人の使命であると、木村先生は宣言しておられました。 
1つの価値観の下、全員を従わせ、従えない者を排除し、効率を求める時代の、完全なる終焉。
この映画を、なんと!
小学校が呼んでくれた!
ほんと、時代は大きく動こうとしていますネ。
映画のパンフレットには、「文部科学省特別選定」と書いてあります。
(もしかして、ブラックジョーク?  いやはや、もう、みんなが、今までのやり方では行き詰っているのネ。)
この映画は全国で、自主上映の形で展開しています。
あなたの街でもぜひ、ご覧くださいネ!
学校もそうだけど、家庭の中にも居場所があるかな?
「せめるより、てつだえること、きっとある」
(息子が小1のとき、宿題で作った標語です)
れべいゆ