自分の棲む水

夕食の準備が終わり、空を焦がしていた強烈な太陽が、やっと山の端に隠れようとしています。
さぁ!夜のリーディングまでちょっと一息・・・
テトラポットの上で夕涼みをする野良猫にご挨拶をして、海に入ります。
水にポッカリと浮かんで見上げる空に、ねぐらへと帰る鷹が一羽。
悠々と黒い影が去ってゆきました。
暑さで火照った身体が水に冷やされ、生気が蘇ります。
対岸の造船所では、まるで中国の風景のように、自転車に乗った作業着姿の工員さんたちが、わらわらと道に溢れ、満ち足りた顔で家路を急ぎます。
気の向くままのその日暮らしが大好きな私と、サイレンの合図に従い、設計図に従い、皆と協力をして船を作り上げる彼ら。
棲む水は違っても、夕方に味わう平和な充足感は、きっと同じかも知れません。
ここ大島には、素晴らしいものが沢山ありますが、中でも私が自慢に思うのは、こんなに小さな過疎の島なのに、下水設備が完備されていることです。
山育ちの私には耳慣れない言葉ですが、「漁業集落排水」と言って、上水道代金の他に毎月約3000円の費用を各家庭が負担しています。
朝な夕なに海に浸かっている私にとっては、全く惜しくない、ありがたい出費です。
そう言えば私がかつて住んでいたある場所では、人々は豊富な水の恩恵を受けているのに、ご飯時になれば川には、洗剤の泡がプカプカと浮かんでいたことを思い出します。
”名水の里、名水の里・・・っていうじゃなぁ~い? でも、あなたの生活排水は、川を汚してますから~。残念!”
と、ギター侍さんに斬られそうです(涙)
住んでいた時には、あまり気が付きませんでした・・・。
海には沢山のものが流れ着きます。
そのほとんどが、人間の出した、自然には還らないゴミ。
私は子供たちに、もっと海に恋してほしい。
百年も千年も先まで、人類が海と仲良く遊べますように。
私にも出来ることを、毎日コツコツと続けたいと思います。
れべいゆ