チビからの贈り物

さ~あ、今日は、猫好きさんは涙なくては読めない記事ですよ~。ハンカチを10枚くらいご用意ください。
最近、大切な存在を亡くして胸が張り裂けそうな人のために、一生懸命、書きます!
(猫に愛着のない方は、人間に置き換えてお読み下さい。)
この写真は、息子がTwitterに投稿した、在りし日のチビちゃん。
今年の夏の暑さの最中、ネットでお取り寄せをした大理石を枕に、お寛ぎの様子です。
我が家に11年いてくれたチビちゃんが、9月30日、老衰のために安らかに天に召されました。
チビちゃんは大分の久住高原を、ガリガリに痩せてさまよっているところを、家人が家に連れて帰って以来、我が家の重鎮、まるでゴッド・マザーのような存在でした。
実際には何歳だったでしょうか?元々が小さめな身体だったので、よく分かりませんが、近所の猫も一目置いていましたから、きっと高齢だったことでしょう。
そのチビが9月の終わりに急激に痩せ、その頃からやたらに裏山に行きたがるようになりました。
ご飯を食べなくなり、水も飲まなくなって身体がきついはずなのに、外へ出せと、一晩中泣き続け、網戸によじ登ろうとさえします。
根負けして外に出すと、スタスタと家の脇の坂を上がって、山水を通すための溝の中へと消えて行きました。
今まで何でも、チビのしたいことをさせていた私たちです。
居たいところにいて、食べたいものを食べ、いつもチビを自由にしていました。
でもこの時ばかりは耐えられず、溝に置かれたコンクリートの重たい蓋を外し、痩せたチビを抱きかかえて、泣きながら家に連れて帰りました。
ごめん、チビ。
あなたがどんなに自由を好んでも、ママはこれだけは出来ないよ・・・
独りで溝の奥深く、濡れた身体で蟹と一緒に死なせるなんて、そんなこと、できっこないよ・・・
でも、連れ帰ってからもチビは山へ行きたがります。
寒かろうと思い、フカフカの布団を用意しても、冷たい地面に座りたがります。
そこで一計を案じ、朝イチで島外にあるホームセンターに飛び込み、猫用の散歩紐を買ってきて、外を好きなように歩かせました。
すると原っぱや山道、車の下などを一通り歩いたあと、滅多に入ってくることのない、私のタロット庵に足を向け、床に気持ちよさそうに寝転びました。
私は本当に怖かったのです。
この大切な存在が、私の生活する空間から居なくなるなんて・・・もう姿が見えなくなるなんて、なんて酷いことだろう。私は生きていけるのか?怖い!チビのいない日々が怖くて、何度大声で泣いたことでしょう。
そしてこうも思いました。
私はたまたまチビの死と向き合っているけれども、
今この瞬間、地球上では、子供と別れている人もいるだろう・・・親や親友、恋人とのお別れに、胸が潰されている人がどれくらいいるのだろう・・・
良い思い出が多ければ多いほど、
愛情を注げば注ぐほど、
お別れの悲しみは大きい。
しかもお別れは、必ず、必ず、やって来る・・・
そして私は段々と、腹の底から怒りがこみ上げて来ました!
このシステムは一体何なんだ!
こんな無情なシステムを作った奴は、誰なんや!
そいつを呼び出して、ボコボコにしたいほど腹がたちました!
イヤだ!イヤだ!イヤだ!
お別れなんて、絶対に許せない!
チビはそんなことは何も考えていないかのように、いつもと変わらずスヤスヤと眠っています。
チビちゃん・・・あんたが人間の言葉を話せたら、せめて遺言が聴けるのにね・・・。」
そのとき、”カードを引いてご覧・・・”と声がしました。
私はテーブルの上に大粒の涙をボトボト落としながら、真剣にカードを切りました。
チビからのメッセージは、私の分、夫の分、そして息子の分の3つです。
ドキドキしながらカードをめくり、全部を写真に撮りました・・・。
チビが昏睡状態になるまで、ほんの4日・・・毎日出来ることが減っていき、とうとう立てなくなったとき、私はもうこれからはずっとチビを抱きしめて過ごそうと決心し、「チビ、待っててね!」と声をかけ、最後の電話タロットをしにタロット庵に入りました。
そしてリーディングをしているほんの数十分の間に、ほんとに誰もたまたま看ていなかった間に、独りで息を引き取りました・・・
チビ、チビらしいよ・・・
最期まで孤高のカッコイイ猫でした・・・
私はこの日までに、人生最大の大声で何度も何度も泣いていました。
でも、臨終を知ったときは、その悲しみと共に、チビのいない人生をどうやって過ごすのかという不安と恐れで圧倒されそうでした。
一番驚いたのは息子で、彼はチビが昏睡状態になっても、呑気に枕元でゲームなどしてましたから、あんなに泣くとは、私も想像していなかったです。
私たちは泣きながら、チビのお墓の相談をしました。
焼くのはイヤだ、と息子が言います。
結局、大きめの木箱を作り、そこを花で埋めて、みんなが見える庭の隅に埋めて、チビの部屋のようにしよう、そして上に桃の樹を植えよう、ということになり、またまた島外のホームセンターまで、木箱を買いに行きました。
行きの車でも、息子と二人して慟哭です。涙で前が曇り、運転が危ないけど涙が勝手に流れます。
えっ?夫はどうしてたかって?
実はこの日、自転車で転んで背中を打ち、なんと肋骨を骨折してたんです!
ホームセンターで木箱を探しながら、チビを良く知る親友と電話で話しました。
彼女も家族のように大事にしていた犬クンを、つい先日、数ヶ月に及ぶ壮絶な介護の果て、立派に見送ったばかりです。
結局てきとうな木箱はなく、木材をカットして手作りすることになりました。
大好きな存在の棺桶を手作りするなんて、いくらDIYの大好きな私でも耐えられない仕事ですが、家人が骨折では仕方ありあせん。
木材を抱えて、駐車場で車のドアを開け、運転席に座りドアを閉めようとしたとき、サァ~っと小さな風のようなものが、私の横をすり抜けて、ちょこんと助手席に座りました。
「もしかして・・・チビちゃん?」
小さな風がまた吹きました。
するとその風がフワッと車全体に広がり、胸に温かいものが伝わりました。
後ろ座席で涙に濡れている息子をキラキラ、キラキラ、粒子のように包んでいます。
あれ?
あれれ?
さっきまで胸をメッタ突きにされているような、鈍い、重苦しい、鉛のような悲しみと不安が、スっと薄れていくのを感じます。
何なん?これ・・・
何が起きたんだろう・・・?
スーパーに寄って、夕食の買い物をしました。
いつも真っ先に行くのは、鮮魚のコーナーです。
チビは極新鮮な近海魚しか食べませんでしたので、先ずはチビちゃんの食材を確保する、というのが習わしでした。
でももう、その習慣は、必要ないのです・・・
気持ちがまた、喪失の悲しみへとシフトしそうです。
私はまた、風、あのキラキラな粒子を感じてみました。
さっきはあちらから来てくれましたが、今度は自分でアクセスする感じです。
とたんにまた、心に温かさが戻ります・・・。
そうか!こうやって行けばいい。
チビちゃんは次元を変えただけなんだ。
存在の仕方が変わっただけなんだ!
ちゃんといる!ちゃんと感じる!
帰りの車では、意識をずっと、あのキラキラの方に向け続けました。
家に帰り玄関を入ると、家中がキラキラで充満しています。
死の悲しみで重苦しかった空間が、チビの愛で満たされています。
あれ?
あれあれ?
もはや今は、私たちが小さなチビを抱き締めるのではなく、
大きなチビちゃんのキラキラな粒子が家中にあふれ、そして私たちを包み、抱きしめています。
良く言うでしょう?
「あなたは私たちの記憶に、永遠に生きています」と。
でもあんな、慰めのような、一生懸命そう思い込もうと努力するような、そんな苦しいモノではないんです。
ちょっと意識を向けるとそこにある、意識の層のようなもの、
そしてリアルに感じられるものなんです。
「母さん、腹減った!」
夜半まで泣き尽くしていた息子が起きてきました。
これから朝食を済ませ、小さい猫の身体をしていたチビちゃんとのお別れをしますネ。
続きは、また明日・・・・
れべいゆ