
子供時代を山深い小さな村落で過ごした私は、この地に移住するまで、潮の満ち引きというものを間近に目にしたことがありませんでした。
1日の内に2度も入江の階段の上まで潮が満ち、引いていく時には、普段海の底にある岩や貝類が顔を出し、岩の上を辿り沖の方まで散歩が出来ます。
月の引力が地球の海水を引っ張って満ち潮となり、月とは反対側の海水面は、逆に引力が小さいために海水が取り残されて海面が上がり、その中間地点は水が少なくなる。
そこに太陽の引力の影響が加わり、潮の満ち引きの大きさに日々差が出るのだそうな…。
天体の壮大なる叙事詩が、すぐ身近に繰り広げられています。
「最初の頃は毎日LINEを返してくれたのに、最近は既読スルーのときがあります。」
「出会った頃は毎週デートしていたのに、疲れているからと会えない週があります。」
こんなとき女子は、本当に不安になってしまいますよね。
「もしかして他に、気になる女性が出来たのでしょうか?」
「本当はもう、私に飽きて来たのでは…。」
そして女子の心の中は疑心暗鬼の妄想でいっぱいになり、スマホの画面を10分おきに確認してしまうことでしょう。
こうなったら残念ながら、恋の負けは見えています。
あなたが発するイライラと不安の重苦しいオーラは、ますます彼氏を遠ざけてしまうことになります。

でも、人間も宇宙の一部であるならば、彼の心にも自然な満ち引きがあるかも知れませんよ。
思いっきりあなたに引き寄せられて会いたくて仕方がないときと、何故だか気持ちが乗らなくて、素っ気ない態度をとるときと。
ちょうど潮の満ち引きのように、彼の心にもリズムのようなものがあるのだとしたら…。
恋人ができたらいいなー、と、彼氏の居ない時期は思うものですが、実際恋愛が始まると、彼という存在が日常の中に入ってきて、日々メールを送ったり返事を心待ちにしたり、ヤキモチを妬いたり不安になったりと、結構面倒くさいことも増えて来ます。
時には恋愛疲れと言いますか、自分で自分の気持ちに振り回されて、彼が好きなのかどうかも分からなくなる…なんて日もあることでしょう。
ですから彼の気持ちが引き潮の時は深追いせずに、あなたも自分のことに時間を使うチャンスです。
「そう言えば、ずいぶんと本を読んでないなぁ。」
「たまには女友達と、ゆっくり旅行でもしてみようかな。」
「2kg、痩せてみよう。」
「服を断捨離しようかな?」
「試験勉強に打ち込もう!」
ほらほら!やることは沢山ありますヨ。
そして再び彼の心が満ち潮になり、あなたに連絡をして来たときには、あなたは知識を肥やし、旅の思い出を作り、スッキリと贅肉が取れ、部屋は片付き、試験には受かっています。
男心の満ち引きのリズムを上手に利用して、ますます魅力的なあなたでいて下さい。
恋は勝たなければ面白くありません。
ちょっとズルい気もしますけど、勝つにはコツが、あるものです。
れべいゆ